スライドは全64ページです。 スライド1 読書バリアフリーに関する国立国会図書館の 近年の取組と大学図書館との関係 大図研京都ワンディセミナー 2024年7月28日(日) 国立国会図書館 関西館 図書館協力課 本田麻衣子 スライド2 国立国会図書館の 障害者サービスを実施する図書館へのサービス ・障害者サービス担当職員向け講座 ・障害者向け資料の統合検索・統合目録サービス ・視覚障害者等用データ送信サービス ・学術文献の視覚障害者等用資料の製作 ・障害者向け資料の図書館間貸出し ・マラケシュ条約に基づく国際サービス https://www.ndl.go.jp/jp/library/supportvisual/supportvisual.html スライド3 学生から、「紙の本以外の形で資料を入手したい」というリクエストがあったらどうしますか? ① 電子書籍や電子図書館サービスを探す ② みなサーチで探す ③ 読書バリアフリー資料メタデータ共有システムで探す ④ 外国の文献なら海外から取り寄せることを検討する ⑤ 自館で製作する or 製作を依頼する スライド4 本日の内容 1. 読書バリアフリー法と国立国会図書館 2. みなサーチ(国立国会図書館障害者用資料検索) 3. 電子図書館のアクセシビリティ対応ガイドライン1.0 4. まとめ スライド5 1. 読書バリアフリー法と国立国会図書館 スライド6 障害者サービスの位置づけ 「国立国会図書館ビジョン2021-2025」において、7つの重点事項の内の一つが「読書バリアフリーの推進」である。 国立国会図書館のビジョンは、以下の当館ホームページで確認できる。 https://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/vision_ndl.html スライド7 背景:読書バリアフリーに関する国の動向 ○視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法)(2019年6月公布・施行) ○視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画(読書バリアフリー基本計画)(2020年7月策定) アクセシブルな電子書籍等について、市場で流通するものと、著作権法第37条に基づいて障害者施設、図書館等により製作される電子書籍等を車の両輪として、その普及を図る。 ○視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る関係者協議会 (関係者協議会) 読書バリアフリー法 第18条の規定に基づき、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する関係者の協議を行うために設置 スライド8 「車の両輪」の必要性 ・著作権法37条による資料 ◎視覚障害者等の読書に最適化されており、質が高い ▲点数が限られる ▲必要性が生じたときにすぐに提供できる訳ではない ・市場で流通する電子書籍 ▲操作性が必ずしも良いとは限らない ◎点数が多い ◎健常者と同じタイミングで独力で利用できる スライド9 読書バリアフリー基本計画と 国立国会図書館の役割 1. 視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等(9条関係) 公立図書館等や国立国会図書館、点字図書館におけるアクセシブルな書籍等の充実 2. インターネットを利用したサービスの提供体制の強化(10条関係) 国立国会図書館やサピエ図書館のサービスの周知、サービス内容や提供体制等の検討 3. 特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援(11条関係) 4. アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等(12条関係) 民間電子書籍サービスの図書館への導入を支援 5. 外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備(13条関係) 6. 端末機器等及びこれに関する情報の入手支援、ICTの習得支援(14条・15条関係) 7. アクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等(16条関係) 8. 製作人材・図書館サービス人材の育成等(17条関係) ※「読書バリアフリー基本計画」Ⅲ施策の方向性より抜粋 スライド10 国立国会図書館の取組 1.視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等 学術文献録音図書・テキストデータの製作 2.インターネットを利用したサービスの提供体制の強化 みなサーチ・視覚障害者等用データ送信サービス 4.アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等 電子図書館のアクセシビリティ対応ガイドライン スライド11 2. みなサーチ(国立国会図書館障害者用資料検索) スライド12 2024年1月「みなサーチ」本稼働 ・今まで:旧・国立国会図書館サーチの「障害者向け資料検索」タブでの検索 ・2024年1月:みなサーチ(国立国会図書館障害者用資料検索)正式版公開 https://mina.ndl.go.jp/ スライド13 みなサーチのコンセプト① :導線はシンプルに 以下の4つの検索はすべて上部にまとめて、音声読み上げ等等の支援技術を使用する利用者もすばやく検索にたどりつけるようにしている。 ① 簡易検索 トップページにある検索ボックスです。まずはここに調べたい単語を入力します。 ② 詳細検索 使いたい資料の種類などが決まっている場合は、ここから指定して検索します ③ 全文検索 国立国会図書館のデジタル化資料の本の中身を検索できます。 ④ ジャンル検索 「ダウンロードの多い資料」「児童書」など様々な切り口で、簡単に検索することができます。 スライド14 みなサーチのコンセプト① :導線はシンプルに 検索結果を絞りこんだり並べ替えたりする際は、ファセットや同じ画面上に絞りこみ項目を設けるのではなく、「詳細検索」画面に遷移して絞り込む等を行う導線とした。 スライド15 参考:国立国会図書館デジタルコレクション 左側のファセットで絞り込む形となっている。 スライド16 参考:国立国会図書館サーチ 検索結果一覧画面の上部に絞りこみ項目を出している。 スライド17 みなサーチのコンセプト② :必要な情報は素早く入手 検索結果一覧画面に「ログインしてダウンロード」のリンクがあり、必要な資料は書誌詳細画面に行かなくても、検索結果一覧画面からデータをダウンロードできるようにしている。 スライド18 みなサーチのコンセプト② :必要な情報は素早く入手 書誌詳細画面の上部に「この本を読むには」というエリアを設け、その本にたどりつくための情報になるべく早く到達できるようにしている。 スライド19 みなサーチのコンセプト② :必要な情報は素早く入手 「最近1か月の新着」や「資料形態ごとの一覧」といった利用者から要望が多かったジャンル検索をトップページに配置し、簡単にどのような資料があるか、確認できるようにしている。 スライド20 みなサーチの特徴① :検索の一元化 以下の10種類のデータベースが検索可能 ・国立国会図書館デジタルコレクション ・サピエ図書館資料検索 ・障害者用資料総合目録 ・国立国会図書館蔵書 ・視覚障害者等用デジタル資料 ・青空文庫 ・出版情報登録センター(JPRO) ・公共図書館蔵書 ・CiNii Research ・国立情報学研究所バリアフリー資料メタデータシステム スライド21 みなサーチの特徴① :検索の一元化 データベースを「国立情報学研究所読書バリアフリー資料メタデータ共有システム」に設定 例: https://mina.ndl.go.jp/books/R100000141-I074720006038539 スライド22 みなサーチの特徴① :検索の一元化 データベースを「出版情報登録センター(JPRO)」に設定すると、出版書誌データベース「Books」に登録されている、読み上げ対応の電子書籍とオーディオブックが検索可能 例: https://mina.ndl.go.jp/books/R100000137-I90357800000000264241 スライド23 みなサーチの特徴① :検索の一元化 データベースを「青空文庫」に設定すると、テキストデータが利用可能な青空文庫収録作品を検索することが可能 例: https://mina.ndl.go.jp/books/R000000014-I001341card60639001341 スライド24 みなサーチの特徴② :様々な資料形態を検索可能 みなサーチで検索できる資料形態 ・DAISY(デイジー)、点字、テキストデータ ・読み上げ対応電子書籍 ・オーディオブック ・バリアフリー音声ガイド付き映像資料 ・バリアフリー字幕付き映像資料 ・大活字本・拡大写本 ・LLブック ・布の絵本・さわる絵本 ※各資料形態の詳しい説明は、みなサーチのヘルプページをご参照ください。 https://mina.ndl.go.jp/help/1-3 スライド25 みなサーチの特徴② :様々な資料形態を検索可能 詳細検索の「資料形態」で「れきおん」にチェックを入れて検索すると、みなサーチで、国立国会図書館デジタルコレクションの「歴史的音源(れきおん)」で提供する音源を検索することができる。 歴史的音源(れきおん)については、以下のページを参照。 https://rekion.dl.ndl.go.jp/ スライド26 みなサーチの特徴② :様々な資料形態を検索可能 ・みなサーチのジャンル検索には、インターネット公開の歴史的音源を簡単に検索できる「今すぐ聴ける“歴史的音源”」がある。 https://mina.ndl.go.jp/genre/rekion-internet?cs=mina-genre-rekion-internet ・書誌詳細画面の「この本を読むには」から「国立国会図書館デジタルコレクション」のページに遷移して、音源をすぐに聴くことが可能(誰でも利用可能) スライド27 みなサーチの最大の特徴:デジタル化資料への導線 ・国立国会図書館では、所蔵資料のデジタル化と公開を進めてきたが、デジタル化資料のほとんどはテキストデータを持たない画像データで、アクセシブルではない ・画像データから、書かれている文字を認識するOCR技術により、テキストデータを作成し、「全文テキストデータ」として2023年3月から視覚障害者等の方に提供開始 ・全文テキストデータは、視覚障害者等用データ送信サービスの承認館や登録者あれば、みなサーチからダウンロード可能 ・これにより、画像データではできなかった、当館デジタル化資料の音声による読み上げや点字表示、本文の検索も可能に スライド28 みなサーチの最大の特徴:デジタル化資料への導線 みなサーチでの「全文検索」の実現 ・「国立国会図書館デジタルコレクション」と同じ全文検索が可能 ・本文も含めて検索し、ヒットした箇所はスニペット表示される ・ログインすれば、全文テキストデータをダウンロードして、デジタル化資料を利用することができる スライド29 全文テキストデータの提供 ・図書、雑誌、博士論文など約247万件のテキストデータ ・全文テキストデータを提供する資料は、現時点では古い年代のものが中心 1969年までに刊行された資料が全体の6割以上 1990年以降に刊行された資料は247万点中約44万点(約18%) そのうち図書は約3,000点、雑誌は約30万点 スライド30 全文テキストデータの提供 ・全文テキストデータ収録資料の種類、内容、点数の表 種類 内容 点数(概数) 図書 1968年までに受け入れた図書、震災・災害関係資料の一部(1969年以降受入分も含む) 97万点 雑誌 明治期以降に刊行された雑誌(刊行後5年以上経過したもの) 132万点 博士論文 1990~2000年に送付を受けた博士論文 15万点 その他 官報等 2万点 計 247万点 ・全文テキストデータとして収録されている図書約97万点の分類別内訳の棒グラフ。グラフの内容は以下のとおり。 総記 2.7% 哲学 7.4% 歴史 10.3% 社会科学 22.7% 自然科学 6.8% 工学 7.0% 産業 8.8% 芸術 5.9% 言語 2.5% 文学 14.3% 不明 11.6% スライド31 ・全文テキストデータは「未校正」のテキストデータ ・画像に含まれる文字をコンピュータに読み取らせてテキストデータを抽出しており、人手による確認・校正は行っていない。 ・誤認識により、誤字やレイアウトの崩れがある可能性あり。 例: タイトル:新文芸創作講座 第3巻 出版者:厚生閣 出版年月日:昭和15 URL: https://dl.ndl.go.jp/pid/1053694/1/60 (ログインなしで閲覧可能) 上記資料の114ページの一部分の全文テキストデータは以下のとおり。 ----- ところが横光利一にならんで新感覺派の運動を續け、これに理論を與へようとした一人に、川端康成がゐる。氏にはもともと「落葉」や「雪國」などのやうな日本的な作品があるが「水晶幻想」や「慰靈歌」などは西洋的な感じの濃い作品である。とくに「水晶幻想」は後にかく「意識の流れ」の手法を追つて、悲しいまで、①〓らかな世界をかいてゐる。西洋的な文脈を辿りながらその間から日本②しかし川端康成の文章にはつねに豐かな抒情性が漂つてゐる。的な思考が顏を出してゐるのであり、そこに横光利一との區別がみられる。川端康成の文學の本質は西洋の③〓養のなかに育てられながら、古い日本の傳統が、消し難い薰香を放つてゐるところにあるといつてよいのである。 ----- ①の〓は「淸」、③の〓は「敎」という字である。どちらも文字が判読不能だったため、「〓」が割り当てられている。②は、誤認識で文章の順序が入れ替わっている。 スライド32 全文テキストデータの活用 ・これまでテキスト化されていない、古い学術文献のテキストデータを視覚障害者等の方に提供可能 ・例えば大学なら、レポートを書くために大量の文献に当たりをつけたい場合などに有効ではないか ・まずは全文テキストデータで資料の内容をざっと確認した上で、リクエストがあれば、各館で全文テキストデータを基に校正済のテキストデータを製作することも可能 ・当館の図書館向けデジタル化資料送信サービスに加入している図書館であれば、原本のデジタル化資料の画像データを確認して、全文テキストデータの校正作業を行うことができる スライド33 全文テキストデータに寄せられた感想等 ・これまでは調べものをする際に古い資料はあきらめていたが、みなサーチの全文検索によってデジタル化資料に手掛かりがみつかり、全文テキストデータをダウンロードすることによって内容を確かめて、自分で新たな資料を見つけることができた。 ・全文テキストデータとして提供されているものは、点字やDAISYの形式では提供されていない学術論文や雑誌が多いので、利用価値が高い。 ・自宅にいながらアクセシブルな資料を多く利用できるようになり、ありがたい。 ・(点字図書館から)利用者から全文テキストデータを校正して、校正済みのテキストデータまたはテキストDAISYを作成してほしいとの要望があった。 ・(学校図書館から)発達に特性がある児童が、自分の興味のある分野について学びを深めていく際に、音声で利用できる資料となると限られたものしかなかった。全文テキストデータであれば、様々な資料が提供されているので可能性が広がる。 スライド34 視覚障害者等用データ送信サービス ・みなサーチから、全文テキストデータをはじめとした視覚障害者等用データをダウンロードして利用するためには、「視覚障害者等用データ送信サービス」への登録が必要 ・みなサーチは、視覚障害者等用データ送信サービスの検索の窓口 ・公共図書館、大学図書館、学校図書館などは機関として登録可能 ・登録を希望する図書館は、以下の3種類の書類を提出する必要あり(提出書類の事前確認も可能) ①承認申請書 ②設置根拠を明記した文書 ③図書館の活動状況がわかる資料 スライド35 参考:学術文献のテキストデータの製作 ・視覚障害者等用データ送信サービスの送信承認館であれば依頼可能 ・学術文献であれば、未校正の全文テキストデータについて、校正済テキストデータを製作することも可能 ・OCR(光学文字認識)をかけただけの未校正のテキストデータと、人の目によって原本と照らし合わせながら修正した校正済のテキストデータを製作 ・未校正テキストデータ:製作期間は概ね1か月以内。OCRの誤認識により誤字やレイアウトの崩れが含まれる可能性があるが、迅速に提供できるというメリットがある。 ・校正済テキストデータ:製作期間は約8か月。時間はかかるが、校正を行い、図等の内容を説明したテキストも挿入することから、正確性が高いというメリットがある。 ・2つの製作メニューを用意することで、利用者の用途や目的に応じて製作することができる。 スライド36 参考:海外の視覚障害者等用データの取寄せ ・マラケシュ条約に基づき、外国からDAISYデータや点字データ等を取り寄せ可能 ・ABC Global Book Service(世界各国の視覚障害者等用データ約94万件を収録した目録)を通じてデータを入手 ・依頼に応じて、国立国会図書館が代行して「ABC Global Book Service」で資料を検索。取り寄せたデータは、みなサーチから提供 ・ 「マラケシュ条約に基づくデータ取寄せ希望」として、メール・電話等で依頼をお寄せください [参考] みなサーチジャンル検索:外国から取り寄せたデータ(現在87件) https://mina.ndl.go.jp/genre/abc?cs=mina-genre-abc スライド37 3. 電子図書館のアクセシビリティ対応ガイドライン1.0 スライド38 2023年7月「ガイドライン1.0」の公開 ・「電子図書館のアクセシビリティ対応ガイドライン1.0」を2023年7月19日に公開 ・国立国会図書館ホームページ>障害のある方へ>電子図書館のアクセシビリティ対応ガイドライン1.0 でアクセス可能 https://www.ndl.go.jp/jp/support/guideline.html スライド39 図書館におけるアクセシブルな電子書籍サービスに関する検討会 ・ガイドラインの作成主体。事務局はNDL(文部科学省と連携) ・関係者協議会に委員を出している団体のうち、以下の障害者団体、出版・図書館関係団体及び有識者で構成 障害者団体 日本視覚障害者団体連合 日本弱視者ネットワーク 日本身体障害者団体連合会 日本発達障害ネットワーク DPI日本会議 出版・ 図書館関係団体 デジタル出版者連盟 電子出版制作・ 流通協議会 日本書籍出版協会 日本図書館協会 有識者 近藤武夫 東京大学先端科学技術 研究センター教授 植村八潮 専修大学文学部教授 スライド40 状況の把握①:サービス提供事業者に対する調査 ・国内の図書館に導入されている電子図書館のアクセシビリティへの対応状況を把握するため、サービス提供事業者を対象に調査を行った ・調査期間は、令和3年10月から12月 ・調査方法は、アンケート方式(送付と回収、追加質問は、メールで実施) ・対象は、『電子図書館・電子書籍貸出サービス調査報告2021』(植村八潮、野口武悟、電子出版作成・流通協議会編、2021)において、提供可能なタイトル数が10,000以上となっている以下の4サービス KinoDen(株式会社紀伊國屋書店) LibrariE & TRC-DL(株式会社図書館流通センター) Maruzen eBook Library(丸善雄松堂株式会社) OverDrive Japan(株式会社メディアドゥ) スライド41 状況の把握②:障害者団体に対するアンケート調査 ・視覚障害者等の読書ニーズを把握するため、障害者団体を対象に調査を実施した ・調査期間は、令和3年9月23日から同年10月29日まで ・調査対象は、日本視覚障害者団体連合、日本弱視者ネットワーク、日本身体障害者団体連合会、DPI日本会議、日本発達障害ネットワークの加盟者のうち、全盲、ロービジョン、上肢障害や全身性障害等、ディスレクシアに該当する者 ・調査方法は、アンケート方式 ・配布数は、郵送分が793部。メール分は、各団体がメーリングリストで配信しており、受信者数を把握することはできなかった スライド42 これまで読んだ本の形式とこれから読みたい本の形式の比較 これまでに読んだ形式 これから読みたい形式 割合の差分 紙に印刷されている本 439 (59.4%) 299 (40.5%) -18.90% 電子書籍(EPUB等) 223 (30.2%) 347 (47.0%) 16.80% オーディオブック 135 (18.3%) 204 (27.6%) 9.30% 紙の点字 218 (29.5%) 156 (21.1%) -8.40% 点字データ 132 (17.9%) 123 (16.6%) -1.20% 音声デイジー 339 (45.9%) 339 (45.9%) 0.00% テキストデイジー 158 (21.4%) 152 (20.6%) -0.80% マルチメディアデイジー 82 (11.1%) 112 (15.2%) 4.10% テキストファイル・ワードファイル 159 (21.5%) 152 (20.6%) -0.90% PDF 141 (19.1%) 105 (14.2%) -4.90% その他 41 (5.5%) 22 (3.0%) -2.60% スライド43 電子書籍に備えてほしいアクセシビリティ機能 全体(n=739) 全盲(n=251) ロービジョン(n=162) 上肢障害や全身性障害等(n=118) ディスレクシア(n=103) 音声読み上げ 509 (68.9%) 215 (85.7%) 124 (76.5%) 72 (61.0%) 64 (62.1%) 詳細読み 212 (28.7%) 138 (55.0%) 45 (27.8%) 13 (11.0%) 15 (14.6%) 文字の拡大 209 (28.3%) 4 (1.6%) 85 (52.5%) 49 (41.5%) 45 (43.7%) 色反転 91 (12.3%) 7 (2.8%) 56 (34.6%) 3 (2.5%) 16 (15.5%) 読みやすいフォントへの変更 193 (26.1%) 14 (5.6%) 71 (43.8%) 25 (21.2%) 50 (48.5%) 文字間・行間の調整 170 (23.0%) 14 (5.6%) 51 (31.5%) 29 (24.6%) 53 (51.5%) 縦横の変換 75 (10.1%) 6 (2.4%) 27 (16.7%) 9 (7.6%) 20 (19.4%) 単語へのルビの付与 125 (16.9%) 35 (13.9%) 19 (11.7%) 16 (13.6%) 41 (39.8%) 分かち書き 76 (10.3%) 30 (12.0%) 12 (7.4%) 6 (5.1%) 24 (23.3%) ハイライト 49 (6.6%) 6 (2.4%) 18 (11.1%) 4 (3.4%) 17 (16.5%) 点字ディスプレイへの表示 124 (16.8%) 103 (41.0%) 16 (9.9%) 4 (3.4%) 2 (1.9%) スライド44 ガイドライン1.0の構成 1.本ガイドラインの目的・位置づけ・活用方法 2.適用対象 3.参考規格など 4.対象とする電子図書館の利用者及び支援技術・   アクセシビリティ機能の想定 5.運用体制及び運用手順 6.対応方法 別紙 附属資料 スライド45 目的(ガイドライン1.1.節) 「本ガイドラインは、商用の電子書籍を図書館を通じて提供するサービス(以下、「電子図書館」という。)を視覚障害者等が利用するにあたって必要なアクセシビリティに係る要件を整理することを目的としている。その際、スクリーンリーダーを用いた操作を可能とし、また提供される電子書籍の音声読み上げを可能とするためのアクセシビリティに係る要件を中心に位置づけている。」 スライド46 活用方法(ガイドライン1.3.節) ○公立図書館等 ・民間の電子図書館を調達・導入するための調達仕様を検討する際に利用する。 ・導入している民間の電子図書館のアクセシビリティ対応状況を確認するために利用する。 ・電子図書館のアクセシビリティについての理解を深めるために利用する。 ○電子図書館事業者 ・電子図書館の開発や改修時に、対応項目や優先順位を検討するために利用する。 ・地方公共団体などにおける電子図書館の調達において求められる要件を自社のサービスが満たしているかを確認するために利用する。 ・図書館からのアクセシビリティ対応状況確認に対し、チェックリストとして利用する。 スライド47 適用対象(ガイドライン2.2.節) アクセシブルな電子書籍が視覚障害者等の手元に届くまでには、大まかに5つのルートがある。 (1)紙の本を購入した視覚障害者等が、出版社に連絡してテキストデータを提供してもらう。 (2)出版社から提供された書籍のデータを基に、図書館やボランティアなどによりDAISY図書・点字・テキストデータなどの特定電子書籍2が製作され、視覚障害者等に届く(国立国会図書館の視覚障害者等用データ送信サービスやサピエ図書館を経由する場合もある)。 (3)図書館に所蔵されている紙の本や視覚障害者等が購入した紙の本から、図書館やボランティアなどによってDAISY図書・点字・テキストデータなどの特定電子書籍が製作され、視覚障害者等に届く(国立国会図書館の視覚障害者等用データ送信サービスやサピエ図書館を経由する場合もある)。 (4)書籍が、出版者、電子書籍制作会社、電子取次及び電子図書館事業者を経由して、図書館で導入されている電子図書館経由で視覚障害者等に届く。 (5)書籍が、出版者、電子書籍制作会社、電子取次及び電子書籍販売事業者を経由して、消費者向け電子書籍サービスとして視覚障害者等に届く。 このうち、ガイドラインの対象範囲は④の一部、電子図書館を通じて書籍が視覚障害者等の手元に届くまでとしている。 スライド48 適用対象(ガイドライン2.3.節) 電子図書館はウェブサイト、ビューア、電子書籍コンテンツからなる。ガイドラインは、このうちウェブサイトとビューアを主な対象としている(コンテンツは対象ではない)。 スライド49 運用体制及び運用手順 (ガイドライン5.1.節) ・電子図書館のアクセシビリティを維持していくためには、公立図書館等及び電子図書館事業者がそのための体制を整備し、取組を継続していくことが望ましい。 ・第5章は、公立図書館等及び電子図書館事業者に求められる取組の内容が記されている。 スライド50 公立図書館等における運用体制 (ガイドライン5.2.1.節) ○公立図書館等の長 電子図書館のアクセシビリティに対する取組の重要性と必要性を理解し、体制の構築及び取組の推進にリーダーシップを発揮する。 ○電子図書館の管理運営担当者と障害者サービスの担当者 導入している電子図書館のアクセシビリティ対応状況を把握する利用者からの意見を集約し、関連する部署や担当者と共有する。 ○調達担当者と障害者サービスの担当者の連携 両担当は連携して、電子図書館の選定、導入において本ガイドラインに沿った調達を行い、電子図書館の利用促進に取り組む。 スライド51 公立図書館等における運用手順 (ガイドライン5.2.2.節) ○日々の運用における取組 電子図書館のアクセシビリティをチェック 視覚障害者等からの意見を収集・集約 ○一定期間ごとに実行する取組 視覚障害者等からの意見を電子図書館事業者と共有 ○外部発注時など 調達プロセス全体で電子図書館のアクセシビリティが確保されるよう留意。 例)ガイドライン6章を参考にして要件を記述する。 - ガイドライン記載要件のうち、ステップ1の要件を満たしていること。 - ガイドライン記載要件のうち、ウェブサイトの「6.1.1.3.1. 代替テキストの付与」「6.1.1.3.6. キーボードのみでの操作」……を満たすこと。 スライド52 ガイドライン6章の読み方 各項目は、次のような構成で記載されている ①電子図書館の利用手順に即したアクセシビリティ要件 ②各アクセシビリティ要件に参考規格を紐づけ ③各アクセシビリティ要件を3段階に重みづけ スライド53 電子図書館の利用手順に即したアクセシビリティ要件(括弧内はガイドラインの対応箇所) ログイン(6.1.2) 書籍検索(6.1.3) 検索結果一覧(6.1.4) 書誌詳細情報の確認・貸出・予約(6.1.5) アカウントページ(6.1.6) ビューア(閲覧)(6.2) スライド54 国際・国内規格やガイドラインの関連する項目と紐づけている。 ・JIS X 8341-3: 2016 「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器、ソフトウェア及びサービス- 第3 部:ウェブコンテンツ」 ・Web Content Accessibility Guidelines 2.0 ・User Agent Accessibility Guidelines 2.0 スライド55 各アクセシビリティ要件を3段階に重みづけ 重要性・難易度に応じてステップ1からステップ3に重みづけ ・ステップ1(39要件)  基本的に対応が求められる要件 ・ステップ2(14要件) 備えることが望ましい要件 ・ステップ3(10要件) 優先度は高くはないが、高度なアクセシビリティを達成することが可能な要件 あるいは特定のニーズに最適化するための要件 スライド56 例)6.1.3.3.1. 検索条件入力欄・検索実行ボタンへのラベルの付与【ステップ1】 ■内容 検索条件入力欄及び検索実行ボタンに適切なラベルを付与し、スクリーンリーダーで検索条件入力欄あるいは検索実行ボタンであることが分かるようにすること。 ■参考規格 ・JIS X8341-3:2016「3.3.2 ラベル又は説明(レベルA)」 ・WCAG 2.0 達成方法集「G131 説明的なラベルを提供する」「H44 テキストラベルとフォームコントロールを関連付けるために、label要素を使用する」 スライド57 ステップごとのアクセシビリティ要件(ガイドライン別紙2) ガイドライン「6. 対応方法」に挙げられている要件をステップごとに一覧化して、別紙2として掲載している。 スライド58 チェックリスト形式による達成状況確認(ガイドライン別紙3) ガイドラインにおけるアクセシビリティ要件、ステップ、JISX8341-3:2016の達成基準との対応、適用(〇、-)、対応状況(〇、△、×)、備考欄のチェックリストを別紙3として掲載している。 スライド59 ガイドライン1.0の構成(再掲) 1.本ガイドラインの目的・位置づけ・活用方法 2.適用対象 3.参考規格など 4.対象とする電子図書館の利用者及び支援技術・   アクセシビリティ機能の想定 5.運用体制及び運用手順 6.対応方法 別紙 附属資料 スライド60 附属資料 附属資料1~5は、視覚障害者等による電子図書館や電子書籍の利用についての理解の助けとなることを目的として作成したものであり、ガイドライン本編ではない。 附属資料1. 利用ストーリー 附属資料2. 電子図書館利用手順ごとの想定される課題と対応例 附属資料3. 視覚障害者等による電子図書館の利用を促進するために必要なこと 附属資料4. 音声読み上げの設定項目及びパターン 附属資料5. 音声読み上げ以外のアクセシビリティ機能に係る取組の事例 スライド61 さらに詳細を知りたい場合は… YouTubeの「国立国会図書館公式チャンネル」で、ガイドライン1.0に関する動画を公開しています 「電子図書館のアクセシビリティ対応ガイドライン1.0」内容と利用方法の紹介 https://youtu.be/kj7AiwV0UxI?si=3ltxR5JObcq5fIRP スライド62 4. まとめにかえて 学生から紙の本以外の形で、資料を入手したいというリクエストがあったらどうしますか? ① 電子書籍や電子図書館サービスを探す ② みなサーチで探す ③ 読書バリアフリー資料メタデータ共有システムで探す ④ 外国の文献なら海外から取り寄せることを検討する ⑤ 自館で製作する or 製作を依頼する 国立国会図書館が提供するサービスが活用できる可能性大です スライド63 本日ご紹介した国立国会図書館のサービス ○ みなサーチ https://mina.ndl.go.jp/ ○ 視覚障害者等用データ送信サービス https://www.ndl.go.jp/jp/library/supportvisual/supportvisual-10_02.html ○ 学術文献のテキストデータの製作 https://www.ndl.go.jp/jp/library/supportvisual/supportvisual-02-02.html ○ マラケシュ条約に基づく海外からのデータ取寄せ https://www.ndl.go.jp/jp/support/marrakesh_im.html ○ 電子図書館のアクセシビリティ対応ガイドライン1.0 https://www.ndl.go.jp/jp/support/guideline.html スライド64 ご不明な点がございましたら、お気軽にお知らせください。 ご意見やご感想などもお待ちしております。 【問い合わせ先】 国立国会図書館 関西館 図書館協力課 障害者図書館協力係 電話: 0774-98-1458(直通) FAX : 0774-94-9117 メールアドレス: syo-tky(at)ndl.go.jp ※(at)は半角記号の@に置き換えてください。 『国立国会図書館月報』758号(2024年6月号)に、みなサーチの記事が掲載されています。あわせてご覧いただきますと幸いです。 https://www.ndl.go.jp/jp/publication/geppo/index.html