<課題別分科会>

8月6日(日)午前の部 9:00−12:00


(1)大学図書館史

 山口県光市に戦前、設置された室積師範学校では、1916年に市毛金太郎により「図書館管理法」が開講されました。これは日本における図書館教育としては、もっとも早いものの一つと言われています。市毛は1920年には「師範学校教程図書館学要綱」を出版していますが、これは日本で最初に「図書館学」と銘打ったものとも言われています。室積師範は、その後、山口県女子師範学校、山口師範学校を経て、戦後、山口大学に吸収され、蔵書も、山口大学図書館に移管されました。今回は室積師範の蔵書から、当時の様子を探ってみたいと思います。
 その他、図書館史に関する話題や飛び入りの研究発表もお待ちしております。  

<担当>三角太郎(宇部高専)  笠学(大阪大学)


(2)学術情報発信/機関リポジトリ

機関リポジトリも導入例が目立ち始めましたが、正式な運用が始まっているところは、まだまだごく一部と言えるでしょう。  今回の分科会では、まだリポジトリを立ち上げていない機関の方々に積極的にご参加頂 きたいと思います。導入にあたって、まずどのようなことを考えなければいけないのか、どういったことが具体的にポイントになるのか、大きなレベルで概要を把握できる場にしたいと思います。  NIIのCSI事業(http:www.nii.ac.jp/irp/info/2005.html) 参加大学からの報告をベースに、参加者全員でそれぞれの状況報告・情報交換をしたいと思います。まだ導入準備をされていない機関や、導入済み機関の方も大歓迎です。  参加される方は、A4用紙一枚程度で、各館の状況・事例、質問したいことなどを書いて、下記アドレスまでメールでご提出ください(7月中)。導入事例など、当日参加されない方の情報提供も大歓迎です。この分科会が、皆さんの機関でのリポジトリ導入のきっかけになればと思っています。

<担当>加藤晃一(千葉大) 井上昌彦(関西学院大)
 

(3)図書館経営

今回はこれまでの主たるテーマであるアウ トソーシングに立ち返って,業務委託につい て考えていきたいと思います。
講師として,平成16年に専任職員が一人も いない全面業務委託に踏み切った江戸川大学 から,平岡健次氏を迎え,図書館プロパーの 現場責任者として,どのように図書館戦略業 務を考え,全面委託に至ったか,その業務委 託概況を聞き,メリット・デメリットを点検 していきたいと考えます。 (参考文献:平岡健次 「江戸川大学の図書 館全面委託この1年」(『大学図書館研究』 第75号)  

<担当>呑海沙織(奈良女子大学附属図書館)     亀田俊一(和光大学梅根記念図書館)


(4)利用者サービス

昨年度に引き続き、図書館の地域開放について取り上げます。内容としては

・ 大学と地域の公共図書館の連携について

・ 地域開放の苦心、あるいは地域開放に至る上での反省点

を中心に、事例報告を交えつつ討論を進めて行きたいと思います。 また、公開講座やオープンキャンパスなど、大学主催のイベントに図書館がどう貢献できるか、といった話題についても触れることができれば、と思っております。 皆様の積極的な意見交換をお願いできればと思います。

<担当>大石博昭(静岡大)    野村 健(東京支部)


(5)蔵書構成

蔵書構築分科会では次のテーマを取り上げます。

  1. 収書方針  新カリキュラム導入や研究分野の多様化、図書館の学外公開などの動向により、利用者の蔵書構成についての要望は大きくなる傾向があります。このような最近の状況 を考慮した集書方針について意見交換することを計画しています。
  2. 特色ある資料の収集特定テーマに関する図書やパンフレット類の収集、以前は図書館以外で管理してい た資格試験や就職に関する資料の収集、各図書館で進めている特色ある資料の収集についての事例報告を予定しています。
  3. 電子資料の普及による蔵書構成への影響電子ジャーナルや電子ブックの導入事例、これら電子資料の利用状況、従来のプリント版資料の収集への影響について、今後の検討課題を含め考えたいと思います。

<担当>松原寿之(新潟産業大学)    北川正路(東京慈恵会医科大学)


(6)ILL

テーマ『ILLサービスの現状と今後』

今回は特にDDS(ドキュメント・デリバリーサービス)に絡めてILLサービスの現状と今後について考える場を設けます。 全体の構成は次のとおりです。

  1. 報告発表:「DDS」と「GIF(OCLC)」について実際の担当者の方から、それぞれの現状(費用対効果も含めて)と日頃感じている問題点と今後の展開についてお話していただきます。
  2. フリーディスカッション:参加者全員で発表を受けて今後のILLサービスに求められるもの、図書館側(現場)から改善の訴えが必要なものについてフリーディスカッションをしながら再確認をします。

<担当>伊藤智彦(神戸大学)  相田芙美子(西南学院大学)

 

 

8月6日(日)午後の部 14:00−17:00


(7)危機管理

『災害への予防対策と情報共有』

今回は、自然災害(特に地震・水害)について日頃からできる予防対策と災害対策についての記録保存と情報共有について考える場を設けます。 分科会の構成は次のとおりです。

  1. 講演:テーマ『災害への身近な予防対策』  講師に中沢孝之氏(草津町立図書館)をお迎えして,日頃から私たちができる、身近な予防対策について講演していただきます。
  2. 提案発表:『災害対策ポータル(大学図書館版)』  過去の災害からの経験、役立つ情報を共有する機会(場)があれば、予防対策に活かせるのではないかと考え、分科会担当者でポータルを作成発表します。
  3. ディスカッション: (1)(2)を受けて参加者全員で図書館(現場)での予防対策と情報共有について協議します。現状と今後について再確認をします。

<担当>相田芙美子(西南学院大学)  山内 可菜(群馬工業高等専門学校)


(8)出版流通

今年のテーマは「図書館に関係ありそうで実はない他の動き」ということでひとつは大学生協の「読書マラソン」を取上げようと思います.実際に生協の読書マラソンを進めている人からの報告をうけて図書館と大いにかかわりの深い問題が図書館と関係なくすすめられている実情に迫ります.

もうひとつはICタグです.できれば出版社か取次の報告できる人をお呼びしたいのですが手当てできるか分かりません.ともかく流通段階でのICタグを研究してみたいと考えています.

また、最低でもどちらか一方について5分間でも意見を発表できる姿勢で参加していただくことをお願いします.

<担当> 亀田俊一(和光大)


(9)リテラシー

テーマ:新入生ガイダンス,あなたのところはどうしてる?

 利用教育のなかでも,新入生を対象としたオリエンテーション,ガイダンスは,いまやどこの図書館でも何らかの形で実施されていると思います。 新入生が一堂に会したところで図書館について説明するスタイルから,クラス単位で図書館利用の基礎を教えるなど,そのねらい,方法はさまざまだと思います。

  今回の利用者教育/情報リテラシー分科会では,この新入生オリエンテーション,ガイダンスを取り上げ,各参加者のところでどのようにやっているかを報告しあい,そこでの課題について議論したいと考えています。参加される方は,必ずご自身の職場で実施されている新入生対象のイベントについて簡単なレジュメを作成し(A41枚程度),配布・使用している資料があればそれも分科会にご持参ください。また、予め時間を取って実践報告をしていただける方は、事前に担当までお知らせください。  特に講師は立てず,全員が報告しあう経験交流という形で,このテーマについての理解を深め,実践における改善に資するような分科会にしたいと考 えています。

<担当>鈴木正紀(文教大)  登坂善四郎(横浜市立大)


(10)著作権

図書館団体と著作権権利団体との間に合意ができ、現物貸借図書の複写が今年1月より大体可能となりました。図書館団体側は、合意著作権権利団体がすべての著作物管理をしているのではないことから、さらに他の権利制限を含め、法制化を目指しています。

図書館(室)における文献複写について、著作権について、日ごろどのようなことに気をつけていらっしゃいますか?また、利用者ガイダンスを実施されておられる図書館はありますか?日ごろ疑問に思われたり問題を感じられておられることがありますか? 今回はその報告を受け、解決策について話し合いをしたいと考えています。同時に著作権そのものへの理解を深めたいと思っています。

<担当> 笠原純子(東京大理学部図書係)  松田和子(佐野短期大)


(11)図書館システム

今や,多くの図書館でOPACが公開されていますが,システムベンダーが提供するパッケージ機能だけを使用してはいませんか? 世の中には特色あるOPACを公開している図書館がたくさんあるかと思います。思いもよらないサービスや機能をOPACで提供している図書館もあるでしょう。また,実現していなくても,OPAC改良に燃える図書館員の頭の中にアイデアが渦巻いていることでy層。

そこで,本分科会では,「こんなOPAC,あったらいいな」を検討したいと思います。参加者のみなさんからの新奇なアイデアを持ち寄り,2015年のOPAC像を作り上げてゆく分科会とします。

基調報告として,海外の図書館システムの状況等を調査された慶應大学メディアセンター本部の佐藤康之氏,OPAC2.0など先進的な提案とされている農林水産研究情報センター林賢紀氏をお迎えします。

参加者のみなさんには,どんなアイデアでもけっこうですので,「こんな機能があるといいのに・・・」「こういうOPACがあってもいいじゃないか!」というアイデアをお持ちよりいただけることを願っています。ぜひ一緒に「未来のOPAC」を作り上げましょう!

<担当>小野亘(国立情報学研究所)  辻水衣(広島経済大学図書館)

 

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<主題別分科会>

8月7日(月)

(1)人文系

開催地企画として、蔵の町・川越を訪ねます。江戸より13里の川越は、江戸時代には新河岸川の舟運により江戸と深く結びつき、小江戸(こえど)と呼ばれる商業地として発展しました。また、「9里よりうまい13里」で知られるように、芋の産地でもありました。 本分科会では、江戸から明治・大正・昭和の面影を色濃く残す蔵造りの町並みをのんびりと散策しながら、近年の「ファスト風土」(@三浦展)化しつつある日本の風景を捉えなおす契機になればと考えています。詳細が決まり次第、改めて参加希望者の方にはご案内いたします。 また時節柄、暑さ対策には各自で十分ご留意下さいますようお願いいたします。なお、現地集合・解散となります。

【参考ガイド】

 【主要参考サイト】

<担当> 中島慶子(豊橋創造大)   亀田俊一(和光大)


(2)社会系

埼玉大学共生社会研究センターの見学会を行います。同センターでは、「ミニコミ」「 ニュースレター」「通信」など、流通範囲の限られる、しかし、生活や仕事の場から多様 に発信される資料を収集し、利用者に提供しています。労働問題、消費者問題、市民・住 民運動、公害裁判、埼玉県を中心とした地方史に関するものなども含まれています。また 「住民図書館」の所蔵していた資料を引き継 いでいることでも知られています。資料、情報にかかわる活動のノウハウはどのようなも のでしょうか。貴重な資料の見学と、活動についてのお話をうかがえるよい機会です。ご参加をお待ちします。センターの活動につい ては、藤林泰「小規模図書館奮戦記 その76」 図書館雑誌96(9),2002をご参照ください。  尚、この分科会の開催時間は10:00〜12:30 を予定しています。参加者は9:20にJR京浜東北線北浦和駅改札口を出たところ西口寄りにお集まりください。

<担当> 笠学(大阪大学)


(3)理工系

自然科学系雑誌のバックナンバーセンターとして50万冊の自動書庫を持つ、東京大学柏図書館の見学を企画しました。柏図書館は東京大学内に向けe-DDSサービスを行っています。現状と将来にむけどのような図書館をめざしているのかもお聞きしよう思います。

関連して質問したいことなどございましたら、下記担当までお寄せください。

なお、当日は会場前に集合して、でかけます

見学後、現地解散。柏図書館への交通費は、 各自負担となります。詳しい予定については大会会場にてお知らせいたします。

<担当> 山内可菜 (群馬工業高等専門学校図書館) 笠原純子 (東京大学理学部図書係) <


(4)生物・医学系

生物・医学系大学図書館が抱えている大きな課題の1つに学術雑誌問題があります。生物・医学系大学図書館の多くは一方で価格高騰に起因する"学術雑誌の危機(Serials Crisis)"への対応を求められ、また他方においては電子ジャーナルの急速な普及による図書館サービスの質的変革が求められています。  

今年の分科会は昨年の広島大会で価格高騰問題について情報交換が行われていることから、もう一方の課題であります電子ジャーナルの導入と運用管理を中心に情報交換したいと思います。 電子ジャーナルはそのメディア特性からPubMed LinkOutのように二次情報データベースとの連携が可能であり、利用者サービスの 質的向上が図れると言った利点がある一方で、有形物である冊子体を管理対象とする既存の図書館システムでは管理しづらいと言うマイナス面があります。分科会ではそうした電子ジャーナルの管理運用について次の話題提供をもとにディスカションを進めたいとおもいます。なお、分科会での事例報告や話題提供を希望される参加者については事前に担当までご一報ください。

<担当> 今野穂(札幌医科大学)  加藤晃一(千葉大学) 北川正路(東京慈恵会医科大学)


(5)教育系

今回は全国の私立大学で最初に教員を養成する教育学部を創設した文教大学の越谷図書館の見学を中心に行います。

文教大学越谷図書館には検定済教科書のコレクション,フランス革命期の教育関係資料のコレクションなどがあります。後者については、原理主義、グローバリゼーションの波が押し寄せる今日、政教分離、ユニバーサリズムの国フランスの教育がどのように形成されてきたかについて資料を通じてその歴史をたどりたいと思います。

 浦和から北越谷までの移動に時間がかかりますが、できるだけ討議および情報交換の時間も取り、有意義な会にしたいと思います。

<担当> 巌本康治 (金沢大学)  鈴木正紀 (文教大学)

 

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