大会日程>分科会について(10月11日(日))

午前(9:30-12:30)


第1分科会:大学図書館史 「大学図書館問題研究会の歴史を見るpart4」
今年2020年は、1970年に結成された大学図書館問題研究会にとって結成50周年の節目の
年に当たる。大学図書館史分科会では前回まで3回にわたって、会報や支部・地域グループ
の活動を見ることを通じて、結成から1990年代初頭までの約20年間のそれぞれの時期の大
図研の活動と大学図書館の動きを辿ってきた。今回の分科会では前回までの内容を踏まえつ
つ、1990 年代以降の30 年間も含めて過去半世紀の大図研の経験を全体的・通史的に振り
返り、大図研の歴史を見ることの意義について改めて議論を深めていきたいと考えている。
担当:
加藤 晃一(新潟大学附属図書館)
小山 荘太郎(三重大学附属図書館)


第2分科会:利用者支援 「新型コロナウイルス騒動から考える利用者サービスの課題(仮)」
今年初頭に発覚し、またたく間に世界に広まった新型コロナウイルス(Covid-19)は、わが
国の大学に対しても多大な影響を与えた。大多数の大学において学生や教職員の大学構内へ
の入構が制限され、授業がオンライン中心へと切り替えられ、そして図書館では長期にわた
る休館を強いられることとなった。この原稿の執筆時点(2020年9月初頭)でも新型コロナ
ウイルスは収束すること無く、一時期よりは制限は解除されたとは言え、多くの大学では依
然として入構制限やオンライン中心の授業が続いている。そして、大学図書館でも徐々に開
館が再開されたものの、その多くは利用に際して制限が課されており、新型コロナウイルス
禍以前の 図書館サービスの提供には程遠い状況である。
長期休館をはじめとした利用制限を設けることは、利用者や図書館職員に対する新型コロナ
ウイルス感染拡大の防止対策としてやむを得ない措置であるという見方がある一方、利用者
には多大な不便をかけることとなってしまった。
また、今回の新型コロナウイルス騒動を通じて、これまで気付かなかった大学図書館の役割
や、新たな利用者サービスの可能性が見出されたのでは無いかと思う。
この分科会では、今回の新型コロナウイルス騒動によって浮き彫りになった大学図書館にお
ける利用者サービスに関する問題点やその反省点を共有し、また今回の騒動を通じて考えた
新たな利用者支援の方策を見出すことを目的とする。
担当:
下山 朋幸
安東 正玄(立命館大学)


第3分科会:資料保存 「効果的な除籍」
よりよい図書館コレクションを構築していくために、除籍作業はかかせません。書架の収容
率や分野ごとの資料特性に応じて、保存するべき資料と除架・除籍していく資料を選別する
必要があります。
ただひと口に除籍といっても、実際の作業は千差万別です。除籍基準が定められていて年度
末の作業に組み込まれていたり、 書架に並んでいる重複資料を原始的に取り分けたり 、外
部委託だったり、図書館によってさまざまな方法が取られています。
本分科会では、各参加者が除籍の事例を持ち寄り、情報交換の場にしたいと考えています。
除籍にまつわる実務的なノウハウから今後の理想まで、より効果的な除籍について意見を交
わします。
担当:
楫 幸子(安田女子大学図書館)
北川 正路(東京慈恵会医科大学学術情報センター)


第4分科会:キャリア形成 「他部署、他大学へ異動した経験から得られるもの」
大図研会員のみなさまの中にも、過去に図書館以外の部署を経験された方や、今まさに他部
署にいるという方も多くいらっしゃると思います。図書館で長く働き経験を積むことも大切
ですが、他部署に異動することで、図書館では得られなかった知識と経験を得ることができ
ます。
図書館の外から図書館を見ることで、中にいる時には気づけなかったことに気づくこともあ
ると思います。
また、他大学など他の図書館に異動することによっても、今までの図書館とは違うやり方に
触れ、当たり前が当たり前でなかったことに気づくこともあるかと思います。他部署や他大
学へ異動したことで得られた知識や経験を伺うことは、現在図書館にいる方々にとっても、
欠けている何かを気づくきっかけになると思います。また、図書館の外からの指摘は、これ
からの図書館のあり方を考えていく上でも参考になると思います。
この分科会では、他部署・他大学へ異動した経験をお持ちの方と情報交換を行い、異動した
ことが自らのキャリア形成にどのように影響したかを考えてみたいと思います。
担当:
柿原 友紀(熊本大学)
矢崎 美香(九州女子大学)



午後(14:00-17:00)


第5分科会:学術基盤整備 「オープンサイエンスのためのメタデータ座談会:JPCOAR スキーマを中心に」
本分科会では、日本の機関リポジトリにおける新たなメタデータスキーマであるJPCOARスキ
ーマをテーマに、オープンサイエンス時代の機関リポジトリへの研究データ登録やメタデー
タ記述についての議論や情報交換を行う。
次期JAIRO Cloudの本番稼働がいよいよ2020年12月に始まるが、JAIRO Cloudでのデータ
登録に使用するメタデータスキーマもjunii2から、オープンサイエンスへの対応を目的とし
て策定された JPCOARスキーマに変更となる。
そこで今回は、JPCOARスキーマの設計に携わる方々と、JPCOARスキーマでデータを記述
する方々の双方から話題提供をいただく。その上で、JPCOARスキーマの特徴である識別子
や研究データ対応の詳細など数点の論点を設け、今後のオープンサイエンスを支える学術基
盤について参加者で議論し考える機会としたい。
<話題提供>
片岡 朋子氏(お茶の水女子大学)
小野寺 千栄氏(物質・材料研究機構)
担当:
井上 昌彦(関西学院大学図書館)
田辺 浩介(物質・材料研究機構)


第6分科会:図書館経営 「図書館業務とテレワークのあり方を考える」
今回の全国大会は初のオンライン開催となりましたが、まさに図書館という職場でも今般の
コロナ禍により、否応なく従来の働きかた・仕事のありかたを考え直す機会になっていると
思います。図書館業務には、大別すればサービス部門と管理部門としてそれぞれ異なる業務
がありますが、開館状況や組織・人員体制などによって業務内容にも様々なグラデーション
がありえますし、担当業務によってデスクワーク中心か、カウンターワーク中心かといった
差異もあるでしょう。そのため、例えばテレワークの導入と言ってもその業務のあり方と不
可分となります。
感染症対策のみなら、今後の働きかたを考える上で、図書館でのこれまでの業務のあり方を
振り返りながら、今後どのような業務の進め方が可能なのか、あるいはどのように改善すべ
きなのかを考える場にしたいと思います。
担当:
西脇 亜由子(明治大学図書館)
和知 剛(郡山女子大学短期大学部・郡山女子大学図書館)


第7分科会:図書館建築・デザイン 「東西の都の最新改修・新築事例に学ぶ」
最新の改修・新築事例に焦点を当てながら、事例報告や質疑応答を通じて各大学の担当者が
どのように関わったかを中心に、改修等についての知見を参加者と共有するとともに、今後
に活かせるような場とできればと考えています。
今回は東京および京都の大学図書館の事例として、東京藝術大学附属図書館上野本館の改修、
および京都大学桂図書館の新築についてご報告いただきます。
<話題提供>
大田原 章雄氏 (東京藝術大学附属図書館)
長坂 和茂氏 (京都大学桂図書館)
担当:
中島 慶子(豊橋創造大学附属図書館)
吉田 弥生(大阪大学附属図書館)


第8分科会:出版・流通 「日本の出版業界における取次の役割変化&コロナ対応と電子書籍活用(仮)」

1 トピック
1)日本の出版業界における取次の役割変化
2)新型コロナウイルス流行という状況下での電子書籍活用

2 各トピックについて

1)日本の出版業界における取次の役割変化
通販書店大手アマゾンの台頭等により、日本で長く続いてきた出版流通体制に変化が生じて
きています。特に、流通の上で大きな役割を果たしてきた取次の位置づけの変化は、書店、
読者への影響も大きいと推察されます。近年のこうした状況をフォローアップすることは、
大学図書館員として大切なことといえるでしょう。上記を含めた、日本の出版流通体制の近
年の動向、トピックをご紹介いただきたいと考えます。

2)新型コロナウイルス流行という状況下での電子書籍活用
この度の感染症流行という事態の中で、(大学)図書館は、来館せずとも利用できる電子資
料の有用性を再認識させられたと思います。電子書籍の「出版」「利用」はともに年を追う
ごとに拡大していると思われます。そうした電子書籍市場の一般的傾向、及び、このたびの
感染症流行という事態がその傾向にどういった影響を与えたか。出版界からの視線でご教示
いただきたいと考えます。

<話題提供>
植村 八潮氏(専修大学文学部教授)
担当:
鈴木 正紀(文教大学付属図書館)
中筋 知恵(小樽商科大学附属図書館)